一級建築士がマンション管理組合の皆さまの立場に立って誠実に、親身になって対応させていただきます。

第一回目の大規模修繕工事(築10年〜14年程度)で行われる調査診断

建物全体の外観目視、部分打診、外壁タイル・塗装及び鉄部塗装の接着強度試験、コンクリートの中性化試験を3日〜4日間で行います。

調査診断の結果から約2カ月間かけ、調査診断報告書、修繕仕様書(修繕設計図書)、工事見積書、数量調書が作成されます。

これらを管理組合に提出し、説明します。

調査診断〜工事完了までの流れ

タイルの浮き調査

タイルの浮き調査

パールハンマー等を使用し、タイルの浮きを調査します。
“浮き”とは、タイルとコンクリーの境界面の接着が不良となり隙間が生じ、部分的に分離した状態で、剥離ともいいます。
エフロレッセンスとの違いは、コンクリート中のアルカリ成分が雨水により溶け出し、白い物質として表面浸出する現象がないことです。部分的に打検し、打音により浮きの有無と、後の工事金額書を作成するに当たり、全体の推定数量を調べる目的で行います。
大規模修繕工事が実施されれば、足場を利用し、全面打検して修繕箇所を特定します。

外壁タイル・外壁塗装の接着強度試験

外壁タイル・外壁塗装の接着強度試験

タイル・塗装のコンクリート面に対する付着強度を測定する試験です。
専用の機器を用いて引っ張り試験を行い、劣化状況を把握します。
タイルの接着強度が基準強度に満たない場合は、大規模修繕工事の補修方法の判断資料とします。
塗装においても、塗膜の付着強度によって、
大規模修繕工事における既存塗膜の洗浄方法や新規塗装のグレードを決定する判断資料とします。

鉄部塗装のクロスカットテープテスト

鉄部塗装のクロスカットテープテスト

鋼製ドア等の鉄部に塗装された塗膜の下地に対する付着性を調べる試験です。
カッターナイフで塗装部分に切り込みを×印に入れ、セロハンテープを貼り付け、テープを剥がした後のパターンを、評価基準表で評価・判断します。
これにより大規模修繕工事における既存塗膜の撤去方法や新規塗装のグレードを決定する判断資料とします。

コンクリートの中性化試験

コンクリートの中性化試験

「エフロレッセンス」や「コンクリートのひび割れ」で説明したように、コンクリートは強アルカリ性です。大気中の炭酸ガス(二酸化炭素)と反応することで、長い年月と共に中性化していきます。
中性化が進行すると鉄筋の防錆保護効果が失われます。
外壁からコンクリート片を抜き取り、薬品を噴霧すると朱色に変化した部分がアルカリ性、中性化している部分は反応せず白いままです。
外壁塗装の表面ほど中性化に進み易く、写真でも分かるように築14年目で最大12ミリが中性化しています。
中性化試験によって、大規模修繕工事における新規塗装のグレードを決定する判断資料とします。

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